歯車生活

2018/07/01 日曜日

学生街のファミレス。
向かいの席に座っている友人は、全く変わっていない。
私には到底追い付けないくらい本を読んで、考えて、議論をして、
とにかく必死で学問をしている、そんな人だった。
でも休み時間には冗談を言ったり、
全く理解が遅れてしまった私に簡単な言葉を使って説明してくれたり、
頭が良くて、優しい人だ。
今も、必死で考えつつ、ちょっと人間関係に頭を悩ましているようだ。

仕事帰りに突如電車に乗った。
もう授業は粗方終わってしまった構内に入れば、
ちょっと自動ドアを増やしつつも然程変わっていなかった。
そりゃ殆ど時間なんて経っていないのだから当たり前なのだけれど。

でも私にとってそこはとても遠い場所になっていた。
ここにある自由を、私は失って久しい。
そしてその事をある意味で楽に感じてしまっているのかも知れない。

私は大学にいた当時の自身の居所の無さを不安に感じていた。
外の世界と自分との関係の危うさのようなものに、
上手く足が地球の上に立てていないような感じがあった。
仕事をするようになって、案外悪くないと思えたのは、
あの頃の居心地の悪さから解放されたからだったのだろうか。

向かいに座る友人は、必死で食らいついている。
私には出来なかったやり方で、必死で世界に自分の居場所を探している。
自由を自分のものにして存分に使いこなしているようで、眩しい。
良いな、と思うし、でも別に自分の生き方を否定するでもない。
ただ、たまにこの人の話を聞きたい、と思った。

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私とあなたは別の人

2018/05/25 金曜日

大学時代の友人たちに会う。
学年に数クラスという小規模な大学ではなかったから、
友人たちと出会ったのも一年生からというわけではない。
だから、実質一緒に過ごしていたのは二、三年で、
しっかり分かり合っている…というわけでもない。
すごく気が合うから一緒にいた、というのでもない。

しかし、だからこそ、久々に会うととても面白い。
一人一人がそれぞれ違う毎日を送っていて、
でもそれなりに納得しているようないないような感じで、
ああ、そういう考え方もあるのか、と妙に感心したり、
えー、そんなもんかなあ、なんて訝しんだり。

懐かしい話をしていても、覚えているポイントがちょっと違って、
えーよくそんなことまで、とびっくりする。
友人たちもまた、私の記憶にちょっと驚いている。

それぞれ違うところがあって、ただ共通なのは、
変わっているという事に対する許容範囲の広さ、ということだろうか。
大学ってさ、変な人いっぱいいたよねー、と言いながら、
別にそれが嫌ではなかった、そんな友人たち。
人と同じも別に良いし、違うのも別に良い。
それはとても面白いことだという感覚を、
友人たちとは共有しているような、そんな気がする。

気のせいかもしれないけれど。

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山吹は今

2018/04/21 土曜日

外に出るとあまりの日射しの強さに頭の奥の方が揺れるような感覚があった。
まだ四月だが、袷の着物は既にあまりにもそぐわない陽気だ。
久々に愛用の日傘を開く。見える緑は新緑の青さを通り越して既にくたびれているように見えた。

冷房を入れているわけではないのに、お茶室はどこかひんやりと涼しかった。
山吹を模したお菓子から想起されるのは、既に一二週間前の画だった。

季節が物凄い勢いでやってくる。
時間が経過していることを否が応でも意識させられる。

私は一月前とも二月前とも同じことばかりを繰り返している。
本当は一年前とも二年前とも変わっていないのかもしれない。
時間のない空間に安住してきた。

ひとつ年上の先輩が結婚するらしい。
結婚して暫く休んでいた別の先輩が復帰するとか、
先生の元にふっくらしたお腹で微笑むこれまた別の先輩の写真が送られてきたとか。
お点前をする私の耳に、先生と後輩の雑談が静かに響く。

まあ焦らなくても良いわよ、という先生の言葉に、
私はでも、全く分かっていないのだと気がつく。
結婚も何も、相手もいない。
想像もつかないものだから、結婚したいのか、したくないのかすら分からないのだ。
自らの人生を自分という内側から、しかし尚且つ遠くから、眺めている。

こんなんじゃ、一生結婚できそうにないな、そう思う。
でも時間のない空間なんて本当はないのだろうから、
こうしてぼんやりしている間にも月日が過ぎていってしまうことを、
ああ、困ったなぁ、どうしたものかなぁと思ってもいるし、
どこか自分の深いところから、ざわざわとした焦りを感じないではないのだ。

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